でも、現場で起きていることはシャレにならないようです。
自腹営業ってなに?
西日本新聞のネットニュースを見ていたら、九州のある郵便局職員から苦境を知らせるメールが編集部あてに届いたとの記事を見つけました。内容は暑中見舞いや残暑見舞い用のはがき「かもめ~る」の販売ノルマを課され苦しんでいる、というものでした。一人1,000枚などのノルマを課され、到底売れないので自分で買ういわゆる「自爆営業」もよくあるのだとか。
家族や友人に頭を下げて協力を仰ぐ人もいて、年末などになると「年賀状買わない?」とお誘いを受けたことがある人もあるのではないでしょうか。
建前上は禁止している自腹営業
上記の記事の中では、社内のコンプライアンスとして建前上は自腹営業や上司からの強制は禁止されているようです。これは場合によっては、無理な仕事の押し付けがパワハラに該当する恐れがあり、それを避けるためでしょう。しかしながら、ノルマの達成が人事評価に影響を及ぼすとのことなので、職員が‟自主的に”自爆営業に走り、会社もそれを認識していてるのではないでしょうか。となると、いったいなんのためのコンプライアンスなんだということになります。
価値観や習慣が変化している
そもそも近頃は各種SNSの浸透や価値観の変化で年賀状や暑中見舞いを出す人、会社も減っています。そんななか「かもめ~る」は明らかに売れない商品になっています。それを改良もせずに以前と同じように売れ、と言っても無理があるでしょう。
時代に合わせてサービスや商品の内容を変えていくのは経営者の仕事であって、何も変えなければ売れなくなるのは当然です。それを過大なノルマで現場に現状維持を求めているためこのように苦しむ職員が現れるのでしょう。
自爆営業で会社は一時的に一定の売上げを確保できても、長期的にはマイナスにしかなりません。私も、過大なノルマに苦しみ精神的不調に陥った郵便局職員を子に持つ方が周囲にいます。見ていてつらいものがあります。
能率が上がらない職場
過大なノルマによる心理的負荷でミスが増える、作業が遅くなる。あるいは精神的不調になり休職を余儀なくされる。または最悪退職に至る。こうしたことは本来会社内で問題にし、解決を図るべきことです。それができないので、内部告発のような形で外に話が出てしまう。郵政のような巨大企業であればまだしも、中小零細企業では取り返しのつかないイメージダウンにつながりかねません。
それ以上に、このような働かせ方で業績が上向くのか、とも思います。むしろ生産性の上がらない方に、効率の悪い方にと進んでいるような気がします。
やめる勇気
これまで長年やってきたことをやめるのは勇気がいることでです。
しかし明らかに時代が変わっている状況で固執するのは危険ではないでしょうか。それよりも職員が喜んで売りたがるような新たなサービスを開発する方がずっと持続可能な労働環境を作るのにつながると感じます。
今日の労務管理
・自爆営業は百害あって一利なし
・建前だけのコンプライアンスに意味はない
・物事を変えるのは勇気がいる
とはいえ、年賀状や暑中見舞いなどを頂くと嬉しいんですよね(笑)
年に1回か2回、誰かに手紙を書くという習慣はそれ自体素晴らしいことだと思うので。
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