勤務間インターバル制度とは?導入の方法や休息時間について解説します

2019年8月27日火曜日

助成金 働き方改革

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勤務終了後、次の勤務開始までの間に一定以上の休息時間を設けるのが勤務間インターバルです。狙いは社員が十分な睡眠や疲労回復の時間を取れるようにすることです。

働き方改革関連法案の一つとして「労働時間の設定等の改善に関する特別措置法」が改正され、2019年4月1日から勤務間インターバルを取ることが企業の努力義務と規定されました。

勤務間インターバルは努力義務


さて、努力義務ということなので必ずしなければならないということではありません。「なるだけできるように頑張ってね!」ということです。

勤務間インターバルが規定されたのは、残業が深夜にまで及び前日の疲れを引きずったまま翌日の仕事に臨むような状況が見受けられるからです。

長時間労働の是正や、効率化は企業にとって喫緊の課題です。

努力義務なので何もしなくていいかというと、そういうわけではなく、早めに制度として取り入れることで社員の仕事への意識を変えることができます。

特に「特にすることはないけど、なんとなく残ってる」というダラダラとした残業が多い会社は効率化や残業代削減のために勤務間インターバルを活用してみるのも良いのではないでしょうか。

休息時間は9時間以上が理想

ここで疑問が湧きます。

では休息時間はどれくらいとればいいのか?
そもそも休息時間ってなんだろうか?

実は労働基準法には「休息」という概念はありません。

休息時間を説明する前に拘束時間について説明します。拘束時間とは、労働時間+休憩時間の合計をいいます。たとえば所定労働時間が8時間、休憩1時間であれば拘束時間は9時間ということになります。

そして1日(24時間)から拘束時間を差し引いた時間が休息時間です。さきほどの例でいくと、
24時間ー9時間(拘束時間)=14時間
休息時間は14時間ということになります。

では、勤務間インターバルで休息時間はどのくらいとるべきか、ということですが推奨されているのは11時間です。

EU主要国では各国の労働法やEU指令に基づき、11時間の休息を義務付けています。11時間というのは、ILO(国際労働機関)の1979の運送業界に対する休息時間に関する勧告がベースにあるようですね。

もし休息時間を11時間としたら、拘束は13時間が上限です。所定労働時間が8時間、休憩1時間であれば1日の残業時間は4時間ということになります。これだと閑散期はいいけど、繁忙期には業務が追いつかない、という可能性もあります。そうしたことも考慮したとしても勤務間インターバルを設けるのであれば、最低でも休息9時間は必要だと考えます。

後述しますが、インターバルを9時間以上とするのには意味があります。助成金が絡んでくるんですね。どうせ制度を導入するなら、助成金を活用して少しでも負担を減らしたいとお考えの方はインターバルは最低9時間以上!と覚えておいてください。

勤務間インターバルで生産性は上がるのか

いや、そもそも勤務間インターバルなんて要らない!24時間闘うんだ!と考えるビジネスパーソンもいるかもしれません。

時にはそういった‟無理をしなきゃならない”局面もあることは否定できません。しかし私のように40歳を超えると、ちょっと無理をすると覿面にガタがくることがあります。。

徹夜なんてしようものなら、確実に2日間はぼーーっとしてますね。これではかえって他の仕事に悪影響が出てしまいかねません。

さらに近年は、過重労働や仕事のストレスで精神的不調に陥る人が増えています。全国健保協会の「現金給付受給者状況調査報告」(H30年度)では、傷病手当金受給者のうち原因となった傷病は「精神および行動の障害」が29.09%で最多という結果になっています。

労働時間が長ければ、労働生産性が上がるわけではないというのはさまざまな調査結果からも明らかです。むしろ長時間労働による睡眠不足・疲労の蓄積は効率を下げるだけ、というのは多くの人が体験していることだと思います。

しっかり働いて、しっかり休む。この基本に立ち返るために勤務間インターバルを取り入れるのも一考に値するとのではないでしょうか。

勤務間インターバルで使える助成金

勤務間インターバル制度を導入するには、就業規則にその旨を記載する必要があります。制度の導入にあたって管理層や一般社員向けに説明会等をして、制度の趣旨を理解させることも大事です。

そうした手続きには、一定のコストがかかるのが一般的です。そこで、勤務間インターバル制度を導入する際に利用できる助成金をご紹介します。

それが「時間外労働等改善助成金」「勤務間インターバル導入コース」です。

この時間外労働等改善助成金にはいくつかコースがあります。残業に上限を設けたり、削減する施策をとる場合は「時間外労働上限設定コース」。有休の取得促進に向けた施策であれば「職場意識改善コース」など目的に応じて使い分けることができます。もちろん複数コースを併用することも可能です。ただし同じ目的のために支出は重複できませんので注意が必要です。

助成金を受給するためには、事前に計画書を作成し、労働局に届出をして承認を得る必要があります。

そして計画期間内に勤務間インターバル制度を就業規則等に規定するための改定や、外部専門家を招いての研修等に要した支出の一部について助成金を受けることができます。

より詳しい内容については後日、別記事にてご案内したいと思います。

まとめ

勤務間インターバル制度は現在のところ努力義務ですが、将来的には義務化される可能性もあります。

なにより、適度な休息時間を与えることは社員の健康管理や能率向上に効果があります。ダラダラ残業を抑制することもできます。

労働時間の削減やそのための意識改革の手始めに、インターバル制度を検討してみるのも良いのではないでしょうか。

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福岡の社労士です。 労務管理のスペシャリストとして活動しています。 人事評価制度の構築や就業規則作成、労働トラブルの相談や助成金が得意分野。 気になることがあればお気軽にお問い合わせください!

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